幕間 シュヴィアの港町にて
シュヴィア領内にある港町『エクセボ』
シュヴィア国は他の大陸や島国との貿易が盛んである。
その中心となっているのがエクセボである。
シュヴィアを通過してレバニア国に入る人達もいる。
レバニアも海に属していて港はあるのだが地元民達が漁に出るくらいで整備はされていない。
そこら辺はシュヴィアもレバニアも同意している。
エクセボにやって来る人々の目的は様々で商売に来たり冒険に来たり観光に来たり。
魔王が倒された、という事もあり、魔王城跡を見に行く物好きもいたりする。
船から降りてリュックサックを背負いフードを被り一見男か女かわからない人物もある目的でこのエクセボにやって来た。
「随分と久しぶりになってしまったけど・・・・・・、まぁやっぱり変わったわね。」
懐かしそうに目を細めるその人物は声からして女性である。
「何せ来るのは数百年ぶりなんだから仕方ないか。」
一人小声で呟く女性は足取り軽くエクセボの町を歩き始めた。
シュヴィア城の執務室
「では、レバニアでクーデターが起こる、というのか。まぁ、起きて当然だろうが。」
「マトモな王族や貴族達は既に逃げる準備をしているそうです。」
「我が国に来たら受け入れる事にしよう。」
サリウスとシュバルツはレバニアで起きるであろうクーデターの後始末に関しての相談をしていた。
サリウスとしては戴冠式の時に断罪を行いレバニア王族を追放して新たな王族を立ち上げ支援していこう、と思っている。
自分達がでしゃばると厄介な方向に行く可能性がある。
自国のトラブルは自国で解決するのが一番良い。
それがサリウスの考えだ。
「問題はあのお方の動向だ。あの方の決断次第ではレバニアは間違いなく崩壊する。」
「父上、そのお方とは連絡はとれたのですか?」
「手紙は送ったのだが、返事が全く来ないのだ。もしかして届いていないのか・・・・・・。」
「いや、届いてるわよ。」
突然聞こえた声に二人は振り向いた。
「せ、『聖王』様・・・・・・っ!」
「いやぁ、久しぶりねぇ。手紙読んで来ちゃったわよ♪」
彼女はかつての英雄の一人、『聖王』ミラージュ。
どの国も何人たりとも干渉してはならない『聖国』の主である。