元勇者の幼馴染み、店の名前を決める
「……と言う訳でルーヤはこの村で暮らす事になった」
俺はみんなにルーヤが暮らす事を説明した。
「全然問題ないよ~」
「あぁ、この村には差別する人間はいないから心配するな」
「ルーヤちゃん、よろしくね」
「……よろしくお願いします」
ルーヤはお辞儀をした。
さて、ワイズの店だが工事の方は着々と進行している。
「そういえば店の名前は決めたのか?」
「う~ん、色々悩んでいるんだが、シンプルなのが一番良いんじゃないか、と思って『ワイズ商店』にする事にした」
まぁ、凝った名前にするより覚えやすい方が良いだろう。
「それで今、看板をヨーミリに作って貰っているんだ」
あぁ、ヨーミリだったら頼んだらなんでも作れそうな気がするなぁ。
「あっ! ワイズさ~ん! 看板出来上がったっス~!!」
布を巻いた物を持ってヨーミリがやって来た。
「流石に早いなぁ」
「そりゃあ注文されたら即行動に移すのが私のモットーっスから!」
ヨーミリはそう言いながら巻いた布をほどいた。
「じゃーん! これがワイズ商店の看板っス!」
「へぇ、木の看板か? 風情があって良いじゃないか」
木の板に『ワイズ商店』と彫ってありなかなか印象に残る感じだった。
「いや、風情の問題じゃなくて商売を始める店は木の看板から始めるんだよ」
「えっ!?」
「商業ギルドのルールで決まっているみたいで最初は木の看板で、次が石板、で銅、銀、金でランクが付けられるそうだ」
そんなルールがあるのか、知らなかった。
「ん? ワイズは商業ギルドに入っているのか?」
「まぁ、入っているよ。でも、商売をする奴は大体商業ギルドに入るよ。そういえば商売の申請を取らなきゃいけないんだったな……、王都に行かなきゃいけないな」
「王都に行くんだったらルーヤも連れていかないか?」
「そうだな、人間の町を見せるのも勉強になるかもしれないな」