元勇者、道具屋の商品の試作品を見る
ワイズの店の工事が順調に進む中、ワイズがある物を俺に見せてきた。
「これは……アクセサリーか、どれも上出来じゃないか」
「指輪やイヤリングにペンダント……、デザインも良いしプレゼントされたらどれも女性が喜ぶ物ですね」
リリアが1つずつ手に取りながら感想を言った。
「よかったぁ……、実はコレ店で売ろうと思っている物の試作品なんだ。どうしても道具屋と言うと冒険者寄りの商品が多くなりがちだから、新規の客を開拓するにはこういうオシャレな物も取り扱うのも良いだろう、と思って」
「作ったのはヨーミリさんですか?」
「はい、『こういうの作った事無いからワクワクするっス!』って言ってたなぁ」
「もしかして、デザインもか? ……本人には悪いが想像つかないんだが」
「あぁ、デザインは別の人物がやってくれた」
まぁ、そうだろうなぁ……。
「もしかしてクリスタさんですか?」
「流石はリリア姫ですね、その通りです」
「へぇ、クリスタかぁ、まぁなんか納得できるな」
クリスタは建築士だしこういうデザインも出来るだろうな、と想像がつく。
「クリスタさん、建築士になるか宝石のデザイナーになるか悩んでいた事がある、て言ってましたから」
「そうなのかっ!?」
「はい、定期的にサラさんやアクアさん達女性陣で食事会をしていて、そこで聞きましたから」
「本人も乗り気だったなぁ。頼みに行った時に食い気味で『是非やらせてっ!』ってきたから」
余程やりたかったんだなぁ……。




