元勇者の幼馴染み、下準備を始める
ワイズが村に来て1週間が経過した頃、アムールから連絡があり図面が完成した、との事。
「これが図面でこっちは立体モデルね」
机に図面を拡げ立体モデルと合わせてアムールから説明を受けた。
説明を受けながらワイズはウンウンと頷いている。
「……と言う感じなんだけどどうかな?」
「想像以上に良いですっ!」
ワイズは納得してくれたみたいだ。
「じゃあ、このプランで進ませてもらうね。 受け渡しは一ヶ月後になるよ」
「わかった、いやぁ今から楽しみだよ。 俺もその間に準備を進めないといけないな」
「準備? 納品とか?」
「それもあるけどマーケティング調査をしないといけない。 利益を獲るにはお客が何を求めるのか、とか客層とか調べなきゃいけない」
なるほど、ただ無暗に売る訳じゃないんだな。
「そうなると人手が必要なんじゃないか?」
「そうなんだよなぁ……、ただ人を雇う金は今は無いから自分でやらないといけないんだよなぁ」
そう言ってワイズはため息を吐いた。
「まぁ、俺やリリアが助けてやるから」
「ノエルはともかく、リリア姫は王族だろ? 助けてもらうのにちょっと遠慮が……」
「俺はいいんかいっ!? リリアに関してはサポートするのが好きだし協力は積極的にする筈だぞ」
「そうかなぁ……」
後日、リリアからドンと紙の束を渡された。
「リリア、これは?」
「この1ヶ月の村を訪れた人の流れをデータ化したものです。 ワイズさんのお店の参考になるんじゃないかな、と思いまして」
……うん、予想通りに動いていた。