元勇者の幼馴染み、アムールと打ち合わせする
場所が決まり建て直しをする事に決まりアムールの事務所で打ち合わせをする事にした。
「店舗兼住居となると2階建てか平屋のどっちかになるんだけどどっちが良いですか?」
「う~ん……、平屋だと住居スペースは縮小する事になるんですか?」
「まぁ、1人で生活するなら十分のスペースはあるよ」
「それだったら平屋で良いです。 当分は独り身でいるんで」
そう言ってワイズは苦笑いをした。
……気持ちはめちゃくちゃわかるので俺も複雑な気分だ。
「じゃあ平屋で図面を書かせて貰いますね。 後で立体モデルを作って内装に関して改めて打ち合わせをしましょう」
「よろしくお願いします。後、お金の方は……」
「心配しなくて良い、国から補助金を貰ってるから」
「本当に何から何まで……」
そう言ってワイズは涙ぐんでいた。
「随分と涙脆くなったな」
「そうだな、散々裏切られてきたからちょっとした優しさが心に響くんだ……」
相当辛い経験をしてきたんだな。
「とりあえず下準備はこれぐらいで大丈夫か?」
「あぁ、まだ細かい部分はあるけど大体は目処はついた」
「じゃあ一端家に戻るか」
俺達が家に戻って来るとリリアが慌てて駆け寄ってきた。
「ノエル様! ワイズさん! 大変ですよ!」
「どうした? 何があったのか?」
「ワイズさんが勤めていた商会、告発されたんですっ!」
「えっ、告発っ!?」
「最近、取り扱っている品物の品質が悪くてクレームが多かったのと契約していた職人や農家への金払いが悪くなったらしくて集団で訴えられたみたいです」
「あいつら……、俺の忠告を無視したな」
そう言ってワイズは頭を抱えていた。
「忠告?」
「あぁ、辞める時に『商売は人との信頼で成り立っている。絶対に信頼を踏みにじる様な事をするな』って言ったんだが……、残念ながら届かなかったみたいだな」
ワイズは呆れる様に言った。