元勇者、幼馴染と話す
「それで今は此処で生活していたのか……」
「あぁ、村に帰りたくても帰る金も無いし借金はあるしどうしようもない状態だったんだが、村の噂を聞いてダメ元で申請を出してみたんだ」
「それにしてもひどい話ですね、人が頑張って築き上げた物を奪うなんてっ! どこの誰ですか、そんな不届きな事をするのは」
リリアが怒りながら聞いた。
「メントル商会と言う名前です」
「えっ、メントル商会!?」
リリアが驚きの声を上げた。
「リリア、知ってるのか?」
「いや、この間『鉱山を買い取りたい』ていう話を持ってきたのがメントル商会だったんです」
「マジかっ!?」
なんと言う偶然……、いや、Sランクをもらったから寄って来たんだろうな。
「アイツら……、俺の村にも手を出そうとしていたのか……」
ワイズはギュッと拳を握りしめていた。
「でも、断ったので大丈夫ですよ」
「リリアの勘は凄いな、見事に当たっているよ……。なぁワイズ、俺は来る者拒まず去る者追わずがモットーなんだ。ハノイ村はレバニアではなくシュヴィア国に属している。まぁ、村の環境は変わっているが変わって無い所もある。村に戻って人生やり直さないか? 俺が全力でサポートしてやる」
「いいのか?」
「別に出て行った訳じゃないんだから問題は無いだろう」
「ありがとう、ノエル……」
ワイズは涙ぐみながら言った。
こうしてワイズは村で暮らす事になった。