元勇者、カタナの評価を受ける
品評会から数日が経過した。
「結果が来ましたっ!」
リリアがバタバタと封筒を持ってやって来た。
「ど、どうっスかっ!?」
「落ち着けって……」
俺は封筒を開け中から便箋を取り出した。
「ハノイ領の結果だが……、選考の結果Sランクである事を認定する、だそうだ!」
「「ヤッター!!」」
リリアとヨーミリはハイタッチをした。
「まぁ、当然の結果よね、私の火の力を使えばこんな物よ」
ふふん、と鼻をならすフローラ。
「……なんか複雑だけど、まぁいっか。 それでSランクになると何が変わるの?」
「国から補助金が出るらしい。それに諸外国にも大々的に宣伝してくれるみたいだ」
「それってこれからもっと人が来る、って事?」
アクアの質問に俺は頷いた。
「活性化するのはありがたいが更に忙しくなりそうだな……」
「勿論、補佐官としてサポートさせてもらいますよ!」
「余り無理するなよ……」
今回のSランク認定は村にとっては喜ばしい事だった。
ただ、俺達が喜んでいる裏では当然だがそうでもない奴等もいる訳で……。
「今回の品評会で評価のあり方を見直すべき、と言う意見が委員の間で出てきたそうですよ」
シュバルツからの報告に俺は『そりゃそうだろうな』と思った。
「委員の中には賄賂や買収に手を出していた者がいたみたいで……、彼等は委員から外され処分を受けるそうです。当然領主達も同罪です」
「だろうなぁ……」
「あのカタナは見事にシュヴィアに蔓延る闇を斬ったんですねぇ」
「そんなつもりは無かったんだけどなぁ」
あのカタナは現在ギルドに飾られている。
折角作ったのに使用せずに飾るのはどうか、と思う人がいるがタイジ曰く『アレを使える人物はなかなかいない』という事で使いこなす人物が現れるまでは保存しておく事にした。
その代わり量産用のカタナをヨーミリとタイジが相談して作った。