元勇者、謎の鉱石の正体を知る
ハノイ村に戻って来た俺達はそのまま工房に向かった。
「此処が私の工房っス!」
「へぇ、これはこれは……」
工房を見たタイジは辺りを見回しながらウンウンと頷いていた。
「うちの作業場と対して変わらないじゃないか。 これだったらカタナを作れるな」
「カタナ?」
「ワ国版の剣だよ、ノエルにも見せた事あるでしょ?」
そういえばユウスケに見せてもらった事があったなぁ。
確かユウスケが持っていたのは『タントウ』って言って短い物だったな。
それでも輝いていて妖しい感じがしたんだよな。
「それでコレが例の鉱石っス」
「コレか……、ん? これって……」
タイジは鉱石をマジマジと見ながら何かブツブツと言っている。
鉱石をいろんな方向から見てタイジは言った。
「驚いたな、まさか『ゲンショウセキ』と出会えるとは」
「「ゲンショウセキ?」」
俺とヨーミリの声が重なった。
「ゲンショウセキはカタナを作る上で大切な鉱石だ。ワ国でしか取れないと思っていたから、まさか余所の国でお目にかかるとは思わなかった」
「そんな鉱石だったんスか、知らなかったっス」
「しかもコレはかなり質が良い。 ひょっとしたら名刀が出来るかもしれないぞ」
「マジっスかっ!?」
ヨーミリは興奮気味に言った。
もしかして、とんでもない物が出来るんじゃないか?