ヨーミリ、悩む
ヨーミリに謎の鉱石を渡してから数日後、
「う~ん……」
「ヨーミリ、どうした?」
様子を見に来た俺は腕を組んで難しい顔をしているヨーミリを見て声をかけた。
「あぁ~、ノエル様っスかぁ……、この鉱石の使い道に悩んでるっス」
「例の鉱石か? 何か問題でもあったのか?」
「いやぁ……、物は出来てるんスがねぇ……」
そう言ってヨーミリが指差した先にはナイフやら剣が出来ていた。
俺はその一つを手にとってまじまじと見た。
「良い出来じゃないか。 特に問題は無い、と思うが」
「作った本人は納得していないみたいなのよ。職人の性って言う奴みたいよ」
フローラは呆れながら言った。
「この鉱石の持っているポテンシャルを生かしきれて無いっス! 私の腕ではまだまだ足りないっス!」
鉱石にポテンシャルがあるかどうかは別にして、ヨーミリの言ってる事はなんとなくわかる。
多分、壁にぶち当たっているんだろう。
誰にでも必ず壁はやって来て乗り越えれば成長出来るし乗り越えなければそこまでだ。
中には壁に気付かないで潰れてしまう奴もいるがヨーミリは今、壁に立ち向かおうとしている。
だったら助け船を出しても良いだろう。
「ヨーミリ、やり方を変えてみたらどうだ?」
「やり方っスか?」
「あぁ、違う方法を使って見るんだ」
「そんな事言われても爺ちゃんに教えてもらった方法しか知らないっス」
「俺に心当たりがある」
俺の頭の中には頼れる友人の顔が浮かんでいた。




