元勇者、採掘作業に立ち会う
翌日、作業員達を連れて俺達は鉱山へとやって来た。
「此処が作業現場だ」
「ほぅほぅ、一見すると既に採掘された跡に見えるが……」
「ミスリルがある事は確認出来たんだ。どれくらい採れるかまではわからないが……」
「それを調べるのが俺達の仕事だ。しっかりとやらせて貰いますよ。お前らっ! 久しぶりの仕事だっ! 気合い入れて作業に取りかかれっ!」
『おうっ!!』
カタロフの合図で作業員達はつるはしやスコップ、台車を持って中に入り作業を始めた。
作業を初めてから数分後に作業員から声が上がった。
「親方ぁっ! ミスリルが出ましたっ!」
「こっちもです!」
「こっちからもっ!」
「マジかっ!? こりゃあとんでもないお宝の山かもしれませんぜっ!」
あっちこっちからの報告を受けてカタロフも驚いた表情をしている。
その10分後には台車一杯分のミスリルが採れた。
「ミスリルってこんなに簡単に採れる物だっけ?」
「滅多に採れないから貴重な物なんですけどね……」
俺もリリアも予想以上の結果になって若干引いている。
「いやぁ、こんなに採れるんだったらミスリルの市場値段が大幅に下がってコリンダ商会の奴等も大損するってもんだ」
「カタロフ、コリンダ商会に何か恨みでもあるのか? 会った時から何か目の敵みたいな物言いをしてるが」
「アイツらには色々邪魔されてるんでねぇ、此処にいる奴等はみんなコリンダ商会に良い感情を持って無い奴等ばかりでさぁ」
なるほど、どうやらコリンダ商会は裏で色々やっているみたいだな。
「流石にハノイ領には手を出してこない、と思いますよ。ノエル様に介入する事は基本的に禁止していますからね。 念のために情報は公言しないようにしておきましょう」
「そうだな、対策はとっておいて損は無いからな」




