元勇者、ヨーミリの作業を見る
「とりあえずやってみたらこんな物ができました」
ジャレットに頼んだ翌日に連絡があり俺とヨーミリはジャレットの家に来て出来上がった鉱石を見せてもらった。
机の上に置かれた物は黒い石でゴツゴツした物だ。
「どうでしょうかね?」
「いやぁ、完璧ッス! 初めて作ってこの出来は上出来ッスよ!」
「ほ、本当ですか? 良かったぁ······」
「人工鉱石でもこれはかなり質の良い物ッス。これは腕がなるッス!」
ヨーミリが褒めると言う事はかなり物が良いんだろうな。
早速鍛冶場に持ち帰りヨーミリは作業に入った。
釜に薪をいれてフローラが火をいれる。
「フローラさん、よろしくッス」
「わかったわ」
フローラは手から小さな火の玉を出して釜にいれた。
薪や藁をドンドンいれていき釜の温度をあげていく。
鍛冶場の温度もドンドン上がっていき汗がダラダラと流れていく。
汗をかきながらもヨーミリは釜から一歩も動く事は無く釜の中の火の加減を見ている。
そして、人工鉱石を釜の中にいれていく。
数分後に釜から出して真っ赤になった鉱石をハンマーで叩いていく。
ガンガンガンッ!と言う鉄を叩く音が場内に響き渡る。
叩くと同時に火花が出る。
鉱石は叩いていくうちにだんだんと伸びていく。
ある程度伸びた鉱石は一旦水にいれて冷やしてから再び釜にいれ出して叩いて伸ばす。
その繰り返しでだんだんと剣の形になっていく。
「言葉が出ないなぁ······」
見守っていたガーザスはそう呟いた。
なんと言うか言葉を出す隙が無いくらいヨーミリの動きに無駄がないのである。
「ふぅ······、一気に集中してやるのはやっぱ疲れるッスね」
「暑くないのか?」
「暑いッスよ、でも、この熱さが心地良いんッスよ」
う~ん、なかなか理解できない世界だ。