アミア、ぶちギレる
屋敷内を歩いて数分後、俺達は漸く公爵の部屋にやって来た。
·····ドアが吹っ飛ばされているから間違いないだろう。
中に入るとボロボロになった公爵とその息子が2人でガタガタと震えていた。
「おぉ、丁度来たようじゃな。みっちりと人としての道理を教えておいたゆえ後は好きにするがよい」
公爵にナギナタを突き付けながら良い笑顔でモミジが言った。
「······どう見ても話し合いをした雰囲気じゃないんだがな」
「ノエル、諦めて。これが冥王スタイルなんだよ······」
どういうスタイルなんだよ······。
そこへアミアがスッと一歩踏み出した。
「ロンディ公爵、貴方がたがしようとした行為、王家に対する反逆罪として捕えかねませんが何か言い分はありませんか?」
「そ、それは······決して反逆とかそんな事ではなくですね······」
と、サラの所に通信が入った。
「ノエル、パーティー会場を襲おうとした輩が捕縛されたらしいぞ」
その言葉を聞いた瞬間、真っ青だった公爵の顔が更に青くなった。
「へぇ~、既に動いていた訳ですか······」
アミアの後ろからゴゴゴゴと言う音と共に炎が出ている様に見えた。
自分の結婚式を台無しにしようとしていたんだからそりゃそうなるわな。
「わ、私はただ我が国の為に正しい選択をしようとして······」
「そちらのご子息と私が結婚した方がこの国の繁栄になると?」
「その通りですっ! 身分も下の者と結婚するよりも格のある我が家と結婚した方が『ふざけんなぁっ!!』ひぃっ!?」
アミアの怒鳴り声が響きアミアは公爵の胸ぐらを掴んだ。
「さっきから聞いていれば自分達の都合の良い事ばかり言ってっ! 結局は自分の事しか考えてないじゃないですかっ!! それで本当に国の事を考えているのですかっ!!」
「そ、それは······」
「私の結婚相手は私が選んだ彼しかいないんです!! 身分なんて関係ありませんっ! 彼は上辺だけじゃない私の本質の部分も知ってくれた上で支えてくれているんです!! 少なくとも貴方達よりも人として上です!!」
そう言うと公爵を離した。
「······貴方達は王家に対する反逆罪の疑いで身柄を拘束します。ここで倒れている者全てに対して後日取り調べを行い裁判にかけます」
ロンディ公爵とその一味達は後からやって来た兵士達に連れられて行った。
「私、アミアがあんなにキレたのを初めて見ました」
リリアが感心した様に言った。
「私も思わずカッとなって言ってしまいました」
「いやいや、あそこまでハッキリ言わないとわからない輩もいるからな、王族としては充分だ」
とりあえずこれで結婚式を邪魔する奴は排除出来たから明日は安心して出来そうだ。




