幕間 変化に気づく人々
レバニア城内
「・・・・・・おかしいな。」
「『ミレット』王子、どうかされましたか?」
「農作物が微妙に減少しているんだ。」
とある一室で資料に目を通し疑問の声をあげたのは、レバニア国第二王子の『ミレット・レバニア』。
彼は農政や領内の管理の仕事をしていた。
ミレットの性格は一言で言えば『生真面目』
兄や父親を反面教師にして実直に生きてきた。
「日照りや水害の報告は?」
「特にはありません。まぁ、微妙な変化ですからね。」
「その変化を見落とすと取り返しの出来ない事になるんだ。直ぐに調査団を送ってくれ。」
「わかりました。あ、それから。レバニア領内の一部の、廃村なんですが土地をシュヴィア国が買い取りたい、という話が来ております。」
「シュヴィア国が?」
「国王からは『手続きを進めろ』というお達しが来ております。」
「場所は何処になる?」
「地図上で言いますと、・・・・・・此処ですね。」
部下は机の上に拡げた地図のある場所を指差した。
「この土地は聖女様の出身地じゃないか。聖女様は何か言ってないのか?」
「『別に構わない』と言っています。」
「構わないって・・・・・・。どうも、あの人は苦手だ。」
はぁ~、と溜め息を吐く。
「一応、こちらも進めていくよ。」
「わかりました。」
部下は部屋から出ていった。
「・・・・・・父上も兄上も何を考えているんだろうか。」
魔王討伐から、国王とカイン王子は調子に乗っていた。
自分達がこの世界の新たな支配者であるかのように、行動をしていた。
ミレットはそんな父と兄に呆れていた。
それでも一時的な物だと信じていた。
しかし、数日後に彼は実際にハノイ村に行き真相を知りぶちギレて、母国を捨てる決断をする事になるとはこの時の彼は知らなかった




