元勇者、冥王と会う
結婚式前日の深夜、俺達はロンディ公爵家が見える丘に来ていた。
「予想通りと言うか······、ならず者とか冒険者くずれとか集めてるね」
ユウスケは双眼鏡でロンディ家の様子を眺めている。
「前日夜に会場をぶっ壊して結婚式を出来なくしてやろう、ていう寸法か」
「本当に自分達の事しか考えていないクズだな」
サラがイライラしながら言った。
「下手したら謀反になる事をわかってないんでしょうか?」
「わからないからしでかすんだろ? そして、『そんなつもりはなかった』と言い訳するんだ」
「なんでそんな奴等がのうのうと貴族をやっているんでしょう。即処罰するべきです!」
リリアが言う事に俺は苦笑いした。
「それぞれの国の事情があるからな、俺達だって本来は部外者なんだからな」
「ケンビア王は謝られていたね、あんなに腰の低い王様は初めて見たよ」
事前にケンビア王に報告に言ったら『勇者殿に我が国の騒動に巻き込んで申し訳ない』と謝られたよ。
「お父様はああいう方なんです。だから他の貴族からちょっと舐められ気味なんですが······」
「アミア、本当に良いのか? 明日の朝は結婚式だぞ?」
「その前に我が国に蔓延る膿を出さないと結婚式なんて出来ません」
俺達がそんな事を話していると後ろから足音が聞こえてきた。
「連れてきたぞ~」
コウが姿を現したのだがその後ろには······、
「離すのじゃ! 早くこの紐をほどくのじゃ!」
「アホか、ほどいたら見境無く暴れ始めるだろうが。うちの国だったら大丈夫だが今回は外国だからな」
紐に縛られた女性を引っ張ってきた。
「コウさん、何かしでかましたか?」
「コイツ、閉じ込められている牢屋を破壊しようとしてやがった。レイが付けた結界をも崩そうとしてレイが必死こいて抑えていた」
「レイさんも相変わらずみたいですね······」
ユウスケはため息を吐いた。
「ユウスケ、この女性が?」
「モミジ・ソウマ、コウさんの従姉妹」
「おぉっ! ユウスケ久しぶりじゃな!」
「久しぶりです、モミジさん」
「話はコウから聞いておるぞ、悪党どもを潰せばいいんじゃな?」
「まぁ、お好きな様にしてくれれば······」
「腕がなるのぉ、いつもは後からコウやミカドに説教されるからのぉ、今日は好きな様に暴れてやるわ」
そう言って不適な笑みを浮かべるモミジ。
「······ノエル、魔族よりも邪悪なオーラを感じるんだが気のせいか?」
「奇遇だな、俺もだ······」




