元勇者、対策を練る
結婚式まであと一週間と迫った頃。
「ノエル、奴らが動き始めたよ」
「奴らってロンディ公爵か」
ユウスケが小声で話しかけてきた。
「あいつらこのパーティー会場をメチャクチャにして結婚式を潰すつもりみたいだよ。 こないだの試食会の評判が良かったのを気にしているみたい」
「ふむ、それじゃあ警備の方を強化しておいた方がいいかもな······」
そう言って腕を組んで考えていると
「ノエル様、辺りを巡回していたら怪しい奴等を見つけたので捕縛しました」
シンシアが縄で縛られた男2人をズルズルと引きずって来た。
男2人はぐったりしている。
「あら、この2人は······」
「アミア、知っているのか?」
「ロンディ公爵が雇っている傭兵です。いつもロンディ公爵の側にいるから覚えています」
「ふーん、シンシア、こいつら何をしていたんだ?」
「こちらの様子を木の影から伺っていました。脅しで発砲したら逃げていきましたので麻酔銃をお見舞いしてあげました」
ニッコリと銃を構えるシンシアにちょっとゾッとした。
「どうやら本格的に行動に移すみたいだけどどうする?」
「当日に事を起こされるのは不味いからな······」
「じゃあ大事にならないうちに潰しておこうか?」
「潰す? ロンディ公爵をですか?」
「うん、僕の伝を使ってね、まぁ本当は使いたくないんだけど······」
ユウスケはそう言って苦笑いした。
俺はなんとなくだが察した。




