元勇者、試食会をする
とある日の事。
「今日は忙しい中集まっていただきありがとうございます」
此処はケンビア城にある大食堂、現在王族の方々に集まってもらっている。
「これからアミア姫の結婚式に出される料理の試食会を行います。皆さんの素直な意見を聞かせて頂きたいと思っております」
そう、今日は結婚式の時に出される料理の試食会を行う。
このお城にも当然料理人はいるのだが議会の承認がされていない為に使う事は出来ない。
なのでクワイアとユウスケに頼んだわけだが舌に合うかわからない。
だからこうして試食会を行い意見を聞こう、という事だ。
「結婚式は外で行うためコース料理ではなくビュッフェ形式を取り入れようと思っておりますのでどうぞご自由にお食べください」
こうして試食会が始まった。
「おぉっ、これは美味い!」
「この肉も丁度いい焼き具合だ」
「このサラダのドレッシングって売っているのかしら?」
「ケーキ美味しい~」
会場の所々から感想が聞こえてくる。
「おおむね好評みたいだな」
「とりあえず安心したよ……」
厨房から様子を見に来たユウスケが会場内の反応を見てホッとしている。
「ユウスケ様、このスープの味付けが独特で美味しいんですが何を使っているんですか?」
アミアがカップを持ってやってきた。
「あぁ、それはワ国にある『ミソ』という豆から作った調味料を使っているんです」
「ミソと言うんですかっ! 私気に入りましたわ」
「材料さえあれば作れますから後でレシピを渡しますよ」
「本当ですかっ! ありがとうございます」
とりあえず好評みたいで良かった。
「そういえば神父さんはどうするの?」
「シンシアが聖王国に頼んで神父を手配してくれるらしい」
「もしかして、聖王様自らやってくれる可能性もあるかもね。 聖王様が出てきたら流石に文句は出ないでしょう」
「ユウスケ……、ありえそうなことを言うなよ……」
「いや、ワ国の代表であるミカドと聖王様は親交があってね……、ミカド様はたまに聖国に行ったりするんだ。フットワークが凄く軽いんだよね。それで僕たちが結構苦労してるんだよ……」
「大変なんだな……」
ユウスケのこの予想は後に的中する事になる……。




