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元勇者は静かに暮らしたい(Web版)  作者: こうじ
領主編
305/416

元勇者、結婚式の準備を進める

 ユウスケ達と打ち合わせをした数日後、俺達は結婚式の準備を始めた。


 村から結婚式に使えそうなカーテンとか布とかテーブルを持ちだしてきて会場となる草原にセットする。


「アニラ達にも手伝わせて申し訳ないな」


「いいえ、アクア様のご命令ですから」


「そうそうっ! それにケッコンって幸せな事だよねっ! 幸せを届けるのが天使の役目だったら手伝うのは当たり前だよっ!」


 淡々と準備をするアニラとニカッと笑いながら動き回るユニラ。


「本当に対照的だよなぁ······」


「最初に『お兄ちゃんの言う事は聞くように』と言っておいて正解だったよ」


 そう言って2人を見ているアクアはまるで娘を見ている様だった。


 ······見た目では違和感はあるけどな。


 口に出したら怒られるから出さないが。


「ノエル、これは何処に飾れば良い?」


「サラ、それはあちらの柱と柱の間に頼む」


「わかった」


「サラ、なんだか楽しそうだな」


「あぁ、他人事だが幸せになる手伝いをするのは楽しいさ」


「魔界では結婚式とかあったのか?」


「勿論ある、人間界と対して変わらないぞ。身内を呼んでパーティーをする。ただ······」


「ただ?」


「大体酒を飲んで羽目を外す輩が騒ぎを起こす。それで私が叩きのめす、私が出席した事があるパーティーは何故かそうなる」


 はぁ~、とため息を吐くサラ。


 ······サラも苦労したんだな。 

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