元勇者、結婚式の準備を進める
ユウスケ達と打ち合わせをした数日後、俺達は結婚式の準備を始めた。
村から結婚式に使えそうなカーテンとか布とかテーブルを持ちだしてきて会場となる草原にセットする。
「アニラ達にも手伝わせて申し訳ないな」
「いいえ、アクア様のご命令ですから」
「そうそうっ! それにケッコンって幸せな事だよねっ! 幸せを届けるのが天使の役目だったら手伝うのは当たり前だよっ!」
淡々と準備をするアニラとニカッと笑いながら動き回るユニラ。
「本当に対照的だよなぁ······」
「最初に『お兄ちゃんの言う事は聞くように』と言っておいて正解だったよ」
そう言って2人を見ているアクアはまるで娘を見ている様だった。
······見た目では違和感はあるけどな。
口に出したら怒られるから出さないが。
「ノエル、これは何処に飾れば良い?」
「サラ、それはあちらの柱と柱の間に頼む」
「わかった」
「サラ、なんだか楽しそうだな」
「あぁ、他人事だが幸せになる手伝いをするのは楽しいさ」
「魔界では結婚式とかあったのか?」
「勿論ある、人間界と対して変わらないぞ。身内を呼んでパーティーをする。ただ······」
「ただ?」
「大体酒を飲んで羽目を外す輩が騒ぎを起こす。それで私が叩きのめす、私が出席した事があるパーティーは何故かそうなる」
はぁ~、とため息を吐くサラ。
······サラも苦労したんだな。




