元勇者、打ち合わせをする
後日、ユウスケとミナがハノイ村にやって来た。
「悪いな、忙しいのに」
「大丈夫だよ、ネイアスがしっかりやってくれてるしそろそろ独立した方が良いんじゃないかな、とも、思っているんだ」
ユウスケの言葉からは弟子の成長を心から喜んでいるみたいだ。
俺達はクワイアの食堂で打ち合わせをする事にした。
因みに既にクワイアには話してある。
「クワイアさん、よろしくお願いします」
「こちらこそ! ハーブ亭は国内でも有名ですからその店主であるユウスケさんと一緒に仕事出来るなんて光栄ですよ」
あのお店ってそんなに有名だったのか。
「いやいや、そんな······。貴族の料理なんて作った事が無いのでクワイアさんが頼りですよ」
「僕も久しぶりなんで自信は無いんですが······、一応メニューは考えて来ました」
そう言ってクワイアは机に紙を出した。
「本来はコース料理を出すんですが、外で行うのであればビュッフェ方式の方が良いんじゃないか、と思いまして」
料理の名前の数が多いのはその為か。
「そうですね、招待客が全員来るかわからないですからね」
「ユウスケ、それはどういう意味だ?」
「実はノエルから話を聞いた後、早速調査を始めたんだけどね」
相変わらず仕事が早いな。
「私も親交があった友人と連絡をとって聞いてみたんですけどロンディ公爵が他の貴族に圧力をかけているみたいなんです」
「結婚式に参加するな、て?」
「うん、どうも国の乗っ取りを計画してるみたいだよ」
「乗っ取り、ですか!? それって大問題じゃないですか!」
リリアが大声を出した。
「リリア、声が大きい」
「すいません······、でも本当だったら大問題ですよ」
「王族の求心力を低下させるのが目的みたい」
「おまけにロンディ公爵は結婚式当日に主催の社交パーティーを企画してるみたいです」
「完全に潰しにかかっているのか······」
「これはクーデターと一緒じゃないですか! 何とかしないと······」
何とかするにしても良い方法があるか。
「そこに関してはちょっと考えてある事はあるんだけどね」
「ユウスケ、何かあるのか?」
「まぁ······、劇薬になるかもしれないけど」