元勇者、ユウスケに協力を求める
ケンビア国を訪れた翌日、俺はユウスケの元へやって来た。
「ユウスケ、頼みがある!」
「なに、改まって?」
「お前に結婚式の料理を作って欲しい!」
「結婚式っ!? 誰の?」
「言っておくけど俺じゃないぞ」
「うん、知ってる」
······即答するなよ、若干凹むじゃないか。
俺はアミアの事を話した。
「あぁ~、つまり向こうの王族関係者は使えないから部外者である僕が料理を作る、って事ね。 でも、王族向けの料理を作れるかな? 僕が普段作れるのは一般向けだから」
ちょっとだけ不安の表情を見せるユウスケ。
「私も協力しましょうか? 元貴族で多少は舌に自信はあります」
ミナが声をかけた。
「ミナが来てくれるならありがたい。 勿論ユウスケ1人に任せる訳にはいかないからうちの村で食堂をやっているクワイアにも参加してもらうつもりだ」
クワイアは元宮廷料理人だ、貴族に出す料理の事はわかるだろう。
「それともう1つ頼みがあるんだ。 ユウスケの力を使って悪徳貴族の不正の証拠を掴みたい」
「僕の力?」
「あぁ、久しぶりにちょっと暴れてみないか?」
「う~ん、そうだねぇ······」
ユウスケはちょっと考えた様な顔をしていたが······。
「わかった、協力するよ」
「ありがとうユウスケ」
俺達はガッツリと握手を交わした。




