元勇者、結婚式をプロデュースする
「それで、俺達に相談と言うのは?」
「はい、是非私達の結婚式に協力をしていただけないでしょうか?」
協力?
「なんで俺達に?」
「私、此処で行われたお茶会が楽しくて忘れられないんです。 あの時だけは私が王女である事を忘れる事ができました。 いつもお茶会と言うのは腹の探り合いで気を緩む事は出来ません」
「顔は笑って言葉も穏やかですけど実際は引っ張り合いみたいな所がありますからね」
リリアがウンウンと頷いた。
「私はあのお茶会みたいな結婚式をあげたいと思っています。ですのでノエル様、リリア様に協力をしていただきたいのです」
アミアの真剣な眼差しを見て流石に断る訳にはいかなかった。
「わかった、協力しよう」
「ありがとうございます!」
アミアはニッコリ笑って頭を下げた。
「まず必要なのは場所だよな、ケンビアのお城では出来ないのか?」
「それも議会の許可が出ないと······」
そう言ってため息を吐くアミア。
「余りにも議会の力が強すぎないか? 王族の権力が無い様に見えるんだが」
「実際そうなんです。私達はお飾りの王族なので······」
お飾りの王族?
「そういえば昔ケンビア国では独裁があって国が傾きかけた、と聞いた事があります」
「はい、その反省で王族に全ての権利を与えない事になっているんです」
そりゃまた厄介な事になってるなぁ。
と言う事は城とかは使えないのか、下手したらメイドとかスタッフも使えない可能性があるぞ。
「議会の許可が無くても出来そうな場所はありませんか?」
「城の外れに草原があります。そこは誰の土地でもありませんから使えるかもしれません」
なるほど、草原かぁ。
まぁ実際に見てみないとわからないからな。
後日、俺達はケンビア国に行き実際にその草原を見た。
本当に何も無い所だがパーティーを開くには十分な広さだった。
パーティー会場は此処に決まった。