元勇者、アミアの相談を受ける
「ノエル様、手紙が届いていますよ」
リリアが手紙を俺の元に届けてきた。
「誰からだ······?」
「この印はケンビア国の国章ですね」
ケンビアと言う事はアミアか。
最近、ケンビアとコバルトに関する悪い噂も聞こえないし国交は徐々に回復に向かっているらしい。
封筒を開き中身を手紙を読んだ。
「へぇ、リリア、アミアが結婚するそうだ」
「えっ!? そういえば最近婚約者が出来た、て聞いた様な······」
此処でのお茶会の後も定期的に連絡を取り合っているそうだ。
「じゃあ、相手は知っているのか?」
「確か幼馴染みの騎士、と聞きました。昔から気にはなっていたんだけど身分もあるしなかなか告白出来なかったみたいなんですけど例の婚約破棄の時に傷ついたアミア様の側にその騎士が寄り添っていたそうで、それがきっかけになったみたいです」
傷ついた時に側にいたのはポイントとして高いなぁ。
「で、手紙の内容は結婚式の招待状ですか?」
「いや、何でも相談したい事があるらしいから近いうちに来るらしい」
「相談? なんでしょうね?」
「リリアは何も聞いてないのか?」
「全く」
なんだろうか、厄介事に巻き込まれる予感しかしないぞ。
それから数日後、アミアがやって来た。
「急なご訪問になって申し訳ありません。今回はどうしてもノエル様やリリア様に相談したい事がありまして」
「内容によりけりだがどうしたんだ?」
「実は結婚式及び結婚披露宴の予算が出ないんです」
予算が出ない?
「国の王女の結婚だろ? めでたい事なのになんで予算が出ないんだ?」
「私とメーク、あ彼の名前なんですが、結婚を余りよく思わない貴族がいまして······、強硬的に反対しているんです」
「国王様と王妃様は結婚に賛成してるんでしょ?」
「えぇ、私が選んだ相手ならと大賛成してくれました。メークは人格にも問題はありませんし騎士としての実力も文句はありません。ただ彼は貴族では無いのです」
身分差の問題か······。
「ケンビア国では王族に関する事は議会の賛成が無いと承認されない様になっています。結婚の時も相当揉めたんですが何とか承認はもらいました。ですが結婚式の予算は認められなくて······」
「明らかに嫌がらせじゃないですかっ!?」
なんとも姑息な手段に出たもんだ。