元勇者、相談を受ける
レビューいただきました。ありがとうございます。
それからすぐにアイナの住む家を建て直し、住める環境にした。
「その魔法、いつ覚えたの?」
「旅の途中である街に立ち寄った際に大工のおっさんに教えてもらった。アイナは『必要ない』って、ステラとどっかに行ってただろ?」
「・・・・・・あの時の私をぶん殴ってやりたい。」
・・・・・・こんなに直ぐ落ち込むタイプだったか?
その翌日、シュバルツが再びやって来た。
報酬の相談に来たらしい。
「レバニアでは宮廷から地位とお金、土地が与えられた、と聞きました。」
「そうなのか?」
アイナはコクリと頷いた。
「グダールはプラス要望としてメイドを何人か雇ったみたいで『ハーレムじゃあっ! 俺は男の夢を手に入れたぞぉっ!!』って、喜んでたわよ。」
あいつ、そう言えば俺と一緒の時はいつも言ってたな。
羨ましいとは思わないよ、女の現実を知っている身としては。
「それで、我々としては、この土地をノエル殿の領地にして、ノエル殿を領主として迎えたい、と思っています。」
「えぇっ!? お、俺が領主っ!?」
「しかし、それはレバニアが黙ってないんじゃないか? ある種の越権行為になるんでは?」
「その件に関しては現在、この村をシュヴィア領に属させる様に交渉しています。位置的にレバニアとシュヴィアの中間にあるので、こちらの思惑に気がつかなければ問題なく譲渡出来ます。」
あぁ、ちゃんと下準備はしているんだ。
「こちらの領になったとしても我々はノエル殿の生活に関与は致しません。必要となったら声をかけてもらえればお助け致します。」
「ありがたい話です。俺は今まで通りの生活が出来れば充分なんで。」
地位とか名誉はいらない。
俺が欲しいのはこの村での静かな生活なんだ。