元勇者、ワ国の事情を知る
「そういえばワ国の様子はどうですか?」
「相変わらずだな。毎日うるさい日々を送っている」
「ユウスケはこっちに来てから一度も帰ってないんだっけ?」
「基本的にはそうですね、召集が無い限りは帰る事は無いです」
「でもワ国って鎖国してるんだろ? 出る時色々あったんじゃないか?」
「いや、別に出たり入ったりに関しては問題ないぞ」
コウの発言に俺はビックリした。
「へっ? だって鎖国してるのであれば他国との交流とかは出来ない筈じゃ」
「あくまで『国と国』の交流は無いだけで『個と個』の交流はある。って言うかワ国のミカドが積極的に行っている。 ミカドの許可さえ出せば自由に出入りする事が出来る」
「う~ん、変わってますね。国はダメだけど個人はOKと言うのは」
「積極的なのか消極的なのかわからん······」
俺とミナはコウの説明にわかった様なわからない様な表情になった。
「ワ国はミカドの言葉が絶対なんだよ。ミカドが鎖国を止める、と言えば止めるんだよ」
「そうなのか······」
「ミカドは神に近い存在と言われている。だからこそ滅多に人前に出る機会が無いし厳重に警備されている。ミカドを護る為に鎖国してる様なもんだ」




