元勇者、冥王の話を聞く
「要危険人物って言い過ぎじゃないか?」
「いや、言い過ぎじゃないな。 実際、アイツは危険だからな」
そう言ってコウはお茶を飲む。
「どんな奴なんだ、そのモミジって奴は?」
「一言で言えば『戦闘狂』だ」
「本当に一言で言ったなっ!? なんとなくだがわかったぞっ!」
「モミジさんは別名『冥王』と呼ばれていて僕もまぁ······被害にはあってるんです」
「ユウスケを含めた何人かはターゲットになってるからな」
「コウさんだって一緒に弄って来るでしょ?」
「それはお前がワ国を出ていく、と聞いたから少しでも強くしてやろう、と」
「重力10倍の中で腕立て伏せや腹筋とか崖を突き落とされて『登ってこい♪』とかって何処が修行なんですかっ!? 旅に出る前にあの世へ旅立つ寸前でしたよっ!」
······ユウスケ、苦労したんだなぁ。
「モミジに比べたらマシだろ? アイツは本気で命を取りに来るからな」
「『妾を楽しませるのじゃぞ?』とか言って薙刀を振り回しながら笑っている姿はトラウマ級ですよ」
「そんな危険な奴、外に出したら危ないだろ?」
「たまに出るんだよ、それで大暴れしている。最悪な時は国を一人で滅ぼしている」
「マジかっ!?」
「ただ、アイツがターゲットにしているのは悪人なんだよ。裏で非人道的な事をやっている国とか人とか。それと力比べの為に別大陸の魔王とかにケンカ売ったりする」
「魔王にかっ!?」
「しかも勝っちまうから質が悪い」
「勝つのかっ!?」
本当にユウスケ達の故郷ってどういう所なんだよ。




