元勇者、ユウスケの友人と会う
「······ん?」
「ノエルさん、どうかしましたか?」
「いや、なんか······『とんでもない奴』が近づいている様な気が」
「あぁ~、多分僕の知り合いです」
ユウスケはそう言って苦笑いをした。
と、扉が開いた。
「よぅ、ユウスケ」
「コウさん、来るなら来るって言ってくださいよ。いつも急に来るんだから······」
「いつもの事だろ? コレ此処に来る途中で狩った魔物な」
そう言ってコウと呼ばれた男は背中に背負った小型のウルフをドスンと置いた。
「コレ、キングウルフの子供じゃないですかっ!?」
「おぅ、森の中でケンカを売ってきたからな。親の方はギルドに買い取ってもらった」
「Aランクの冒険者が束になってもなかなか倒せないのに······、相変わらずですね」
「はっはっはっ、褒めるな」
「褒めてませんから、呆れてるんですよ······」
そう言ってため息を吐くユウスケ。
「で、コイツが元勇者か?」
そう言って男は俺の方を見てきた。
「あっ、そうです。ノエル、この人はコウ・ソウマと言って故郷の友人なんだ」
「そうか、ノエル・ビーガーだ」
「コウだ、ユウスケから話を聞いてる」
話は聞いていたが会ってすぐにわかった。
この男は敵に回してはいけない人物だ。
下手したら魔王よりも強いかもしれない。
「あぁ、そういえばモミジさんは元気でやってます?」
「今、モミジの話を出すのは止めてくれ······、アイツの後始末で大変だったんだよ」
そう言ってコウは疲れた表情を見せた。
「ユウスケ、モミジって誰だ?」
「コウさんの彼女でワ国一の要危険人物です」
······彼女? 要危険人物?
なんかとんでもない言葉が出てきたぞ?




