元勇者、アクアが封印されていた理由を知る
「ここではなんですからリビングでお話しましょう、どうぞこちらへ」
そう言ってレミルは俺達を奥へと案内した。
「意外とウェルカムで安心しました。もっと冷たい様な感じじゃないか、と思っていたので」
レイチェルが安堵した表情をしながら言った。
「アクアの仲間って言うのが強いんだと思うわ。神の中には人を見下す輩もいるから。レミル様も基本的には余り関心は無いはずよ」
フローラの言葉にリリアが唸った。
「う~ん······、神様は人間の味方ではない、と言う事ですか」
「私達にとっては人類は世界の一部で動植物と一緒。世界に悪影響を与えるなら人類を滅ぼす事もあるかもしれない」
「姿勢を正さないといけませんね······」
そんな事を話しながら俺達はリビングへとやって来た。
既に紅茶が用意されている。
「流石は水の神ですね、もう飲み物を用意してるなんて。使用人とかいるんですか?」
「使用人はいないけど『天使』はいるわよ。私達には何人か付いているのよ」
「天使って羽がついてる?」
「大体そんな感じよ。主に下界の監視が目的ね。時と場合に寄っては手を出す事もあるけれど」
リリアの質問にレミルは笑顔で答える。
「さて、アクアちゃんが封印されていた理由なんだけど······、私にも一部責任があるのよ」
「責任?」
「お姉ちゃんのせいじゃないよ。私が勝手に行動したせいだから」
「ううん、私がもっと違う命令をしていたら、と後悔しているのよ······」
「一体何があったんだ?」
「まず、魔王軍の勢力が強まっていた頃に女神様から『勇者の力になるように』と御触れが出たのよ。そこで私達上級神は下級神や中級神にも女神様の言葉を伝えたわ」
「ん? でもそんな力はもらってないような······」
「そう、その動きが魔王軍に伝わってしまって魔王軍は先回りをして土地神を封印しようとしていたのよ。でも私達にもその動きがわかったから急遽土地神に避難をするように、と命令を出したのよ」
「当然、私にも伝わっていたんだけどね。あの頃のハノイ村にはまだ数人は村人がいたの。私が封印される、と言う事は村にも被害が出るから私は村人に他の村に行くように伝えたのよ、村人達を逃がしたと同時に魔族が襲ってきて······」
「私が村の事を考えずに自分達の事しか考えずに出した事が結果的にアクアちゃんを封印させてしまう事になってしまって······、あの時は本当にごめんなさいね」
「そんな謝らなくてもいいよ、こうして元気でいられるんだから」
なるほど、そう言う事があったのか。




