元勇者、魔力の仕組みを知る
「とりあえずは解決の目処はついた、事で良いのか?」
「うん、後はエリンジャーがサボらなきゃ、ね?」
「誠心誠意やらせてもらいます······」
抵抗する余裕もないか······。
「よろしくお願いいたします、ただ1つだけ疑問があるんですが」
「どうした? レイチェル」
「魔力は均等に供給されている、と先程言ってましたが中には少ない者もいます。それはどういう事でしょうか?」
「う~ん······。僕は均等に魔力を分けてるつもりなんだけど、受け入れる側、つまり君達人間側の問題だと思う。中身は一緒でも入れ物の大きさは違うでしょ? そこは僕の管轄外だからなんとも言えないけど」
「なるほど、魔力の量は決まっている、と言う事ですか······、私は魔力が少ないので贔屓があるのか、と思っていたのですが」
「贔屓なんてしたら世界のバランスが崩れるし中には暴走する輩もいるからね」
「そんな事があったのか?」
「あるよ、だからこそ今は厳しく制限がかけられているんだよ」
その後、俺達は屋敷の地下室に連れていってもらい魔力を配布する装置を見せてもらった。
「す、凄い······、まるで大樹みたいですね」
リリアが見上げながら言った。
「これは分体でね本体は魔法樹と言って神殿にある」
「魔法樹なら地上にもありますけど」
俺も見た事がある、魔力を回復する事が出きる不思議な木だ。
「あれはこれの分体、神殿にあるのが親機でこれは子機、地上にあるのは孫機となるのかな、あれを地上に設置したのも僕」
「それが仕事でしょ、偉そうに言うんじゃないの」
「それだったら神殿にある本体を直せば良いんじゃないですか?」
リリアが質問する。
「神殿には近づけないんだよ、僕やアクア姉達は。上級神しか入れないんだよ」
「入れるとすれば女神様からの召集命令ぐらいだよ」
アクアが苦笑いしながら言った。




