元勇者、魔法神と話し合う
「さて、どうして私達が来たかわかってる?」
アクアは腕を組みながら仁王立ちして立っている。
「えっと······、僕なんかやらかしましたか?」
一方エリンジャーは正座してガタガタと震えている。
今の所、神の威厳が全く無い。
「あんた、全くわからないの?」
アクアの問いにエリンジャーはコクリと頷いた。
「はぁ······、レイチェル、説明してあげて」
アクアはため息を吐いてレイチェルに説明を促した。
「は、はい······、はじめましてエリンジャー様、私ケイレル国王女のレイチェルと申します。実は我が国で魔法を使えない事案が発生してまして······」
「え? 本当に?」
「そう、だから魔法を司っているあんたに会いに来たのよ。あんたが振られて引きこもって仕事をしてないのは把握済みなんだから」
「いやいやいやっ!? 確かに『弟にしか見えない』って言われてショックで家に籠っていたけど、魔力を供給するのは機械でやっているから問題は無いはず······、あれ?もしかして······」
エリンジャーは、反論しようとしたけど何か思い当たりがあるのか考え込んでいた。
「え~と、レイチェルって言ったよね? その事はケイレル国しか起こってないの?」
「はい、今の所は」
「······ちょっと確認してくる」
エリンジャーは立ち上がって何処かに行ってしまった。
数分後、エリンジャーは戻ってきたがすぐに土下座した。
「すいませんでしたああああぁぁぁぁっっっっ!!!!」
「あの原因はわかったんですか?」
「機械の故障です! いつもは平等に魔力を供給しているんだけど機械の調子がおかしくて一部の地域に魔力が流れていなかったみたいで······、直るのには1週間ぐらいかかるのでどうか辛抱をっ!」
「うん、女神様に報告するね」
「そんなああああぁぁぁぁっっっっ!!!!」
「普通に職務怠慢じゃない」
アクアとフローラは容赦ないなぁ······。
お知らせです。
11月25日に『元勇者は静かに暮らしたい』の3巻が発売されます!
イラストは勿論鍋島テツヒロ先生です!
よろしくお願いいたします!




