元勇者、アクアとフローラの関係を察する
アクアとフローラの口喧嘩が漸く収まり俺達は魔法神の元へと向かった。
「······なんでついてくるのよ」
「え~、だって暇だし面白そうだし♪」
何故かフローラも着いてきた。
「火と水、やっぱり仲が悪いんですね」
リリアが俺に小声で言ってきた。
「そうか? 俺はそうは見えないけどな」
「そうですか? いきなり水バズーカをぶっぱなしたんですよ」
「俺から見ればあれは何度も行われている行為に見えたぞ。それに他にも神がいたけど通りすぎていただろ? いつもの事なんだよ」
「そういえば誰も騒ぎませんでしたね······」
俺が思うに、アクアとフローラは『喧嘩友達』なんだろう。
フローラはわざとアクアを弄る様な事を言って楽しんでいる雰囲気がある。
アクアの性格を理解しているからこそ本気で怒らせないギリギリの所を責めてきているんではないか、と思う。
「う~ん、人間も神も複雑なんですね」
「俺は勇者時代に複雑な関係を見てきたからな。リリアだって見ただろ」
「そりゃあ見たくない部分まで見てきましたけど······、神の世界も同じなんですね」
リリアは腕を組んで唸った。




