元勇者、原因を探る
「魔法が使えないって……、どうやってここまで来たんだ?」
「そこはミネルバに頼んで転移してもらったんです」
「トーリア国には影響は無かったのか?」
「今のところは……、でも時間の問題かもしれません」
「体調の方は大丈夫なの? 魔力と体力は繋がっていて影響がある、って聞いたことあるんだけど」
リリアが聞いてきた。
「私は魔力が元々少ないんです。だから影響はあまり無いんですよ。それよりもお兄様達の方が大変で……、今王族でまともに動けるのは私だけなんです」
「レイチェルのお兄さん達ってエリートで騎士団の団長をやったり魔法学園の理事とかやってるのよね?」
「はい、更にお父様の補佐役もやっているので本当に大変なんです」
「それで、俺の所に? 俺は魔法はそんなに詳しくないぞ」
「それは勿論わかっているんですが……、『勇者ならなんとかしてくれる』とお父様の強い希望で」
……人を便利屋だと思ってないか?
「魔法の事だったらアイナに聞けばわかるんだろうけど、あいにく外出中なんだよなぁ」
「う~ん……」
アクアが腕を組んで何やら考え込んでいるみたいだ。
「アクア、何か心当たりでもあるのか?」
「うん、もしかして『魔法神』に何かあったんじゃないかな?」
「魔法神?」
「この世界は神様が管理しているのは知っていると思うけど私みたいに水の神、火の神、土の神、山の神とかいるんだけど、魔法にも管理している魔法神というのがいるの」
「魔法神って『エリンジャー』様の事ですか?」
「様をつけるような奴じゃないんだけどね、アイツ無類の女好きだしヘタレだし……、とりあえず私のネットワークを使って調べてみるよ」
「アクア、よろしく頼む」
それから数日後……、
「理由わかったよ、やっぱりあのバカが原因だった」
馬鹿って……。
「アイツ、ある女神に振られたショックを引きずって魔力を人類に送る装置の操作をミスったんだって、今寝込んでるみたい」
振られたショックって……、しかも寝込んでるってどれだけショック受けてるんだよ。
「じゃあどうするんだ? 立ち直るのを待て、という事か」
「それじゃあ時間がかかるから乗り込むしかないよね」
乗り込む?
「まさか……、神界に行くのか?」
「その通り♪」




