元勇者、相談される
ユウスケとはその後もいろんな話をした。
ユウスケもハノイ村を気に入ってくれたみたいで『今度はミナも連れてくるよ』と言い帰っていった。
「ユウスケも変わって無くてよかったよ、昔のまんまだったな」
「って言うか別れた時と見た目あんまり変わって無いだろ?」
言われてみればそうだよなぁ、アイツが童顔というのもあるんだろうけど。
「なんか憧れますね、ああいう風に気兼ねなく何でも言いあえる関係、というのは」
「シュバルツだって友人はいるだろ?」
「そりゃあいますけど……、やっぱり邪な思いはあると思いますよ。私が王族だから付き合っているんじゃないか、って考える事もありますよ」
「考えすぎだろ?」
「そうでもないですよ、私だって『王族なのに』、『王女なのに』とか言われる時がありますから」
リリアがそう言ってプクーとほほを膨らませた。
貴族や王族にも悩みがあるんだなぁ……。
それから数日後、レイチェルがやってきた。
「お久しぶりです、ノエル様、リリア様」
「お茶会以来だな」
「あれはすごく楽しかったです、メイア様やアミア様は今料理にはまっているようですよ」
「へぇ~、そういえば最近コバルトとケンビアの関係も良好らしい、と聞いてます」
「はい、長年の仲違いが嘘のように交流が盛んに行われているようですよ、これもあのお茶会のおかげです」
「それで今日は何の用で来たんだ?」
「実はですね……、ケイレル国内で今ちょっとした騒ぎが起こっていまして相談に乗って
頂きたいと思いまして」
「騒ぎ?」
「はい、我がケイレル国は魔法文化が発達していて大抵の国民は魔力を持って生まれてくるのですがたまに魔力を持たずに生まれてくる子もいるのです」
「そういうのって後々魔力が付くという事もあるんじゃないか?」
「そういうケースもありますが大抵は魔力なしとわかると『役立たず』扱いされて人生の負け組の様な扱い方になってしまいます。勿論魔力あるなしで人を判断するのはよくない事ですし法的にも禁止していますが無くならないのが現状です」
どこの世界でも差別とかあるんだよな……。
「で、ここからが重要なんですが……、実は最近急に魔法が使えなくなる事案が発生してちょっとした騒ぎになっているんです」
「魔法が使えなくなる、なんて事があるのか?」
「あるんです、私が正に今魔法を使えない状態でして……」
……え?




