元勇者、ユウスケを羨ましがる
「……という事なんです」
俺達はユウスケの今までの話を聞いていた。
「それで、お店を改装して名前も『ハーブ亭』にして始めたんです」
「ユウスケの料理の腕だったら店も繁盛してるだろ?」
「昔は野宿した時はユウスケが料理を作ってたもんな。ユウスケの料理が楽しみだったからな」
ガーザスがうんうんと頷きながら言った。
「そうだったなぁ、特に魔物肉の煮込みとかスープとかは絶品だった」
「あと魚料理も上手いんだよな、刺身とか焼き魚とかも美味かった! 今でも舌が覚えている」
「そんなに料理が上手いのか、もうプロなんじゃないか? 師匠でもいるんじゃないか」
サラの質問にユウスケは腕を組んで考えた後、
「さっき知り合いのコウさんの話をしたんですけど、あの人料理でも無茶ぶりして対応していたら自然と上手くなっていきましたね」
「そのコウって何者なの? 話だけ聞くと魔王とか瞬殺で倒せそうなんだけど」
「できますね、本人は興味ないからやらないと思いますけど」
「って言うかワ国ってどんな国なんだよ……」
「僕の周りだけですよ、異常なのは……。ほとんどが普通の人ですからね」
「今は冒険者は完全にやってないのか」
「そうですね、たまにギルドから応援に行ったり、ミナと食材探しをするぐらいですかね」
それ、俺が理想としている暮らしなんだけど?
ユウスケの顔を見ていると充実している日々を過ごしているんだろうな、と思う。
「ミナも冒険者は続けているのか?」
「はい、今じゃAランク冒険者でギルドのエースですよ、でもお店の手伝いもしてくれるんですよ」
「へぇ、ユウスケの指導の賜物じゃないか」




