幕間 ノエルが勇者になった後4
「それにしてもお前にも彼女が出来るとはなぁ、アナンの婆さんに教えたら喜ぶぞ」
「ぶふっ!? ミ、ミナはまだ彼女とかそういう関係じゃなくてっ······」
いきなりニヤニヤしながらコウさんに言われたので思わず飲んでいたお茶を吹き出してしまった。
「なんだ? それじゃあ今後進展がある、っていう事か?」
······あぁ、コウさんってこういう人だったなぁ。
「まぁ、お前が鈍感じゃなくてよかったよ。他の奴らは全く気づかないからな」
「······彼ら、全然ですか」
「そのせいで毎回酷い目にあっているのにどうして気づかないんだか」
コウさんが呆れてため息をついた。
コウさんの他にも幼なじみがいるんだけど、揃いも揃って女心に気づかない、と言うか······、幼なじみの女の子からのアプローチを見事にスルーしてるんだよね。
そのせいで女の子からぶっ飛ばされているのに理由に気づかない、と言う。
毎回愚痴られて苦笑いするしか無かったよ。
「そう言うコウさんはどうなんですか? 例の彼女とは?」
「······あの戦闘狂、国内だけに飽きたらず国外に出ようとして押さえつけてる」
「あぁ~······」
コウさんの彼女は頭のネジが壊れているのか暴れるのが大好きな人。
周りからは『破壊神』、『冥王』、『トラウマメイカー』と呼ばれている人物。
押さえつけられるのはコウさんだけだ。
「まぁ、お前が元気にやってるなら安心だ。あぁついでに調べてたんだが、お前の知り合い、ノエルだったか? 今、勇者として旅をしてるらしいが胡散臭い話を聞いたぞ」
「ノエルに関してですか?」
「直接ではないがこの国の王族は勇者を利用しようとしてるみたいだ。あの勇者の仲間も王族の手先みたいだ」
「マジですか······」
「まぁ、この国の王族はクソだ、と言う事だ。お前も気を付けろよ」