幕間 ノエルが勇者になった後2
とりあえずミナの話を聞く為にギルド内の酒場に移動した。
「それで······、家が没落した、ってどういう事? もしかしてあの盗賊団の件で?」
「いえ、あの件に関しては団長からお褒めの言葉も頂きましたし兄を勘当して事実上我が家と絶縁しましたから問題は無かったんです」
「それじゃあなんで······?」
「最近、勇者パーティーが魔王討伐の為に旅立たれたじゃないですか」
僕はコクりと頷いた。
「国は魔王討伐に莫大な資金をかけているんです。その分、貴族に与えられる資金を減額されたんです。我が家みたいな貧乏貴族にとっては死活問題なんです。そもそも私が騎士団に入隊したのは実家を支援する為だったので······」
そんな事情があったなんて······。
「合わせて騎士団のお給料も減ってしまいました。自然と仕送りも出来なくなり家族と相談して爵位を返還する事に決めたんです。それと同時に騎士団も辞めました」
「それで冒険者になった、と······」
「えぇ、冒険者の方が収入が良いと話を聞いた物ですから」
「そっか······、ノエルが聞いたら謝るんじゃないかな」
「え? なんでですか? そういえばノエルさんとガーザスさんの姿が見当たらないんですが」
「実はパーティーは解散してね、ガーザスは実家に戻って家を継ぐ事になって、ノエルは勇者になったんだ」
「えっ!? 勇者ってノエルさんなんですかっ!? 勇者の素性は一切極秘なので······」
「このギルド内では有名な話だよ、そんな訳で僕だけ冒険者を続けているんだよ」
「そうだったんですか」
僕とミナはこうして一時的にパーティーを組む事になった。




