幕間 ノエルが勇者になる前5
「皆さんのお陰で無事捕縛出来ました、ありがとうございます」
盗賊団全員縄で縛りミナは俺達に頭を下げた。
しかし、呆気なかった様な気がするが······。
それに大人しすぎる。
もしかして捕まっても何かしらの策があるんじゃないか?
「そういえば、コイツらに情報を流していた奴も見つけないといけないよな」
「それはこれからゆっくりと時間をかけて尋問するつもりです」
そう言ってニッコリ笑うミナ。
なんだろう、笑ってはいるけど怖いオーラを感じるんだが。
「あぁ~、その件だけど······」
「どうした? ユウスケ」
「実は戦っている間にボスの心を読み取ったんだよね。で、裏切者が誰かはわかったんだけど······、ハウル・カーウェイて知ってる?」
「えっ!? 私の······兄ですが······まさか?」
ミナは呆然としていた。
それよりもガボックが驚いたような顔をしてめちゃくちゃ汗を掻いているのを見て図星なんだな、と思った。
「······まさか実の兄が裏切っていたとはなぁ」
「その理由が妹への嫉妬って言うんだから呆れちゃうよね」
「まぁ、長男教じゃなくてよかったよ。しっかりと締められていたからな」
アレから数日が経過した。
俺達はギルドを通して報酬を貰い更にマスターから後日談を聞いた。
盗賊団を捕縛後、騎士団に引き渡したその足でミナは騎士団の別の隊の隊長をやっているハウルを追及した結果、ハウルは盗賊団と繋がっていた事を自白した。
理由は自分よりも剣の腕や魔力もあるミナに対する嫉妬とか下手したら家を継がれるかもしれない、と焦りを感じて盗賊団と密かに連絡を取った、との事。
万が一盗賊団が捕まったとしても逃がすつもりだったらしい。
この話を聞いたミナを始めカーウェイ家は修羅場になった。
これがこの事件の一部始終だ。




