幕間 ノエルが勇者になる前3
その日の夜、俺達は岩山へとやって来た。
「彼処が盗賊団のアジトらしき洞穴なんですが······」
「こう暗いとわからんなぁ、普通は見張りとかいるはずなんだが」
「ユウスケ、出来るか?」
「これぐらいの距離ならなんとか······、やってみるよ」
そう言ってユウスケは目を瞑った。
「何をしているんです?」
「今、『透視』をして貰っている」
ユウスケのジョブは『シノビ』と言うワ国にしかない特別職で特殊なスキルを持っている。
その中の1つが透視術で周辺の地形や何処に人がいるかわかる。
「······わかった。確かにあの洞穴の奥に数人の武器を持った人がいる。それから入り口には罠が仕掛けられていていつでも逃げられる様になってる」
「そこまでわかるんですかっ!?」
俺達もユウスケのこの力を見た時は驚いたよ。
初めてダンジョンに挑んだ時にユウスケの導きで最先端のルートで攻略出来たんだよな。
「しかし罠が仕掛けてある、となると正面から突入するのは厳しいな······」
「あぁ、そこら辺は僕に任せて」
そう言うとユウスケは一瞬にして姿を消した。
「えっ!? ユウスケさんは何処に?」
「もうあっちにいる」
俺が指差した先の洞穴の前で何かをやっているユウスケの姿があった。
「い、いつの間に······」
これもユウスケのスキルである『瞬間移動』だ。
そしてユウスケは親指を立てた。
「罠を解除出来たみたいだ、行くぞ」
俺達は洞穴へと突入した。




