幕間 ノエルが勇者になる前2
前回の続きです、今回の幕間はちょっと長くなります。
依頼を受けた翌日、俺達はカーウェイ領へとやって来た。
「貴族の屋敷って初めて来たけど緊張するね······」
「ユウスケは初めてだったよな、まぁそんなに緊張する事は無いぞ」
「ガーザスは貴族だからだろ、俺だって初めてだぞ」
俺達みたいな冒険者が貴族に呼ばれるなんて滅多に無い事だからな。
領地に入って暫く行くと屋敷が見えてきた。
「うわ、やっぱり大きい······、あ、前に誰か立ってるよ?」
「女性みたいだが、あの子がミナか?」
「ん~······、あぁそうだな。顔は見た事あるから」
屋敷の入り口の前に甲冑に身を包んだ金髪ポニーテールの少女が立っていた。
「貴殿方がギルドから派遣された冒険者ですか?」
「あぁ、そうだ。俺はノエルと言う、こっちはガーザス、そっちはユウスケだ」
「はじめまして、ミナ・カーウェイと言います。依頼を受けて頂きありがとうございます」
そう言ってミナは頭を下げた。
貴族ってもっと偉そうな感じがしたんだがミナはそんな感じはしない。
「早速ですが詳細を説明したいので中にどうぞ」
ミナの案内で俺は屋敷に入り応接間へと通された。
「盗賊退治と聞いたんだが······」
「はい、この辺りを荒らしているガボックと言う男がボスをしている盗賊団の討伐に協力して頂きたいのです」
「あの、他の騎士団の皆さんは?」
ユウスケが手をあげて質問する。
「······訳あって騎士団ではなく私個人としての行動なんです」
「そりゃどういう意味だ?」
「これまでガボック盗賊団を討伐する機会は何回かありましたが何故かアジトに行ってももぬけの殻になっていたんです。疑いたくは無いんですが······」
「騎士団の中に内通者がいる、と言う事か」
ミナは頷いた。
「だから騎士団には内緒か、納得した」
「で、盗賊団が出そうな場所に心当たりはあるのか?」
「はい、領内に岩山があるんですが領民から最近そこから松明を持った男達が出たり入ったりするのを見た、と報告がありました」
「ふむ、そこが怪しいな······」
「今日の夜にでも決行したいと思っています」
「わかった、出来る限り早い方が良いよな」
今夜、盗賊団のアジトらしき所を襲撃する事にした。




