幕間 ノエルが勇者になる前
久しぶりの更新です。
俺がまだ勇者になる前、ガーザスとユウスケと一緒にパーティーを組んでいた頃の話だ。
俺達はレバニアのギルドにて気ままな冒険者ライフを満喫していた。
「う~ん、コレと言った目ぼしい依頼が無いな······」
「そうかな? 魔物退治とかあるでしょ?」
「そういう気分じゃないんだよなぁ」
「気分の問題っ!?」
ガーザスの発言にユウスケが突っ込む。
これが俺達のいつものやり取りであり光景だ。
「魔物退治はこの間やって金銭的には余裕があるから普段は受けない様な事をやりたいんだよ」
「普段は受けない事、かぁ······」
「それだったらコレなんか良いんじゃないか?」
俺達の前に1枚の紙が差し出された。
「マスターっ!?」
「お前ら、暇だろ? 世のため人のために役立つ事もやってみたらどうだ? ついさっき受注を受けたばっかりほやほやの依頼だ」
紙を差し出して来たのはギルドマスターだった。
「う~ん、でもマスターの推薦した依頼ってろくなものが無いんだよなぁ」
「ユウスケ、まだ引きずってんのか? 向こうさんの都合なんだから仕方がないだろ」
「アレは一生引きずりますよ······」
ユウスケが恨みが篭った目でマスターを睨む。
前にマスター推薦の依頼で悪徳貴族の逮捕の手伝いをしたんだがソイツが娼館の常連で俺達も潜入する為に女装する事になったんだが······、
ユウスケがかなり似合っていて娼館の館長からスカウトされていたんだよなぁ。
結果としては捕まって依頼は達成されたんだがユウスケにはトラウマが出来たみたいだ。
「今回はそんな事はない、とある貴族の令嬢から盗賊退治の手伝いをしてくれ、と言う依頼だ」
「盗賊退治か、しかし貴族令嬢からの依頼って珍しいな、依頼者は······、あぁ~」
「どうした? ガーザス」
「いや、依頼者のミナ・カーウェイって確か伯爵令嬢なんだけど女だてらに騎士団の団長を務めている人物だ」
「流石は貴族だな、そういう情報は入ってくるんだな」
「端くれだけどな、この依頼受けてみるか」
「今回は変な事はされそうもないし······、受けてみよう」
「そうだな、悪党退治なんてなかなか面白そうじゃないか」
こうして俺達は依頼を受ける事にした。
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