元勇者、マルグスの第1王子に会う
シュバルツに頼みマルグスの第1王子に会う機会を作ってもらった。
「はじめまして、ネイアス・マルグスと申します」
「ノエル・ビーガーだ、よろしく」
ネイアスは気の優しそうな少年だった。
「マルグスがとんでもない状態になってるのは知ってるか?」
「えぇ、引き金を引いてしまったのは僕ですから……、そもそも『長男だから』って跡継ぎにされたのが間違っていたんです。僕は王族としては至って平凡でコレと言って取柄もありませんから」
そんなに自分を下に見なくても良いと思うんだけどなぁ……。
「マルグス王は所謂ワンマンで自分の言う事が聞けないのであれば子供でも容赦なく切り捨てるタイプの人間ですから……、ネイアスもかなり苦労してるんですよ」
「はい……、しかも弟達は優秀ですからね、はっきり言うと肩身が狭かったですよ、勉強のためにシュヴィアに留学に来た時はつかの間の自由を手に入れたみたいで嬉しかったですよ、その時だけですね父に感謝したのは」
その後、留学から帰国したネイアスは結婚の準備をしていたのだが、その直前に浮気が発覚した。
「その瞬間、もうどうでもよくなりました……、おまけに僕のことを毒殺しようとしていたみたいですから……」
そりゃあ、嫌にもなるよなぁ……。
「今はシュヴィア国の近くにある喫茶店の手伝いをさせてもらいながら将来は自分の店を持てるように頑張っています」
「一国の王子が喫茶店で働いているのか?」
「えぇ、店長さんが凄いいい人なんですよ、確かユウスケ・アナンっていう……」
「ユウスケっ!?」
思わぬ名前が出て俺は驚きの声を上げた。




