クリスマス記念小説『聖夜の思い出』
今回はクリスマス記念小説です。因みにこの世界にはクリスマスと言う物はありませんが似たようなイベントはあります。
12月25日は『聖夜』と呼ばれている。
世間では『聖王の誕生日』と呼ばれていて各所でお祝いがされている。
教会では祈りを捧げ、貴族達は豪華に庶民はささやかなパーティーを行い聖王の誕生日を祝っている。
「私、12月25日に生まれてないんだけどね」
「いきなり根底を覆すような事を言うなよ」
目の前でコーヒーを飲みながら呟くのは本人であるミラージュだ。
「じゃあなんで12月25日が聖王の誕生日になってるんだ?」
「魔王を倒した日が12月25日なのよ、当時の魔王城は北にあって吹雪の中魔王城を目指して歩いたわ。更に魔王城の中はひんやりしていて魔王に倒されるより風邪か熱で倒れるんじゃないかって不安になったわ」
当時を思い出したみたいで何処か遠い目をするミラージュ。
「大変だったんだな……」
「まぁ、お祝いするのは別に構わないから全然良いんだけど。やっぱり笑顔はみたいからね」
そう言ってニッコリ笑うミラージュ。
「そういえばこの村ではパーティーはやるの?」
「豪勢とは言えないけどちょっとしたパーティーはやるつもりだ。今準備の真っ最中だ」
サラ達女性陣が集会場で飾り付けやら料理を作っている。
「冒険者やってた頃はギルドで飲み会はやってたけどな」
「あぁ、男同士で?」
「翌日みんな二日酔いで酷い有様だったぞ」
俺は酒を飲まないからジュースを飲んでいたけど、いつのまにか誰が酒に強いか、っていう飲み比べ大会になったけどな。
……色気なんて無かったなぁ。