元勇者、将軍と会う
サーニャが来て一週間が経過した。
体力の方は徐々に回復していき顔色もよくなってきた。
表情も明るくなり笑顔が増えてきた。
これが本来の彼女なんだろう。
「おーい、将軍を連れてきたぞ」
ガーザスが男性を連れてやってきた。
将軍と会うのは旅立つ時以来だが、一言二言言葉をかけられたぐらいだ。
「お父様!」
「サーニャ! すまなかったな、一人で傷つき苦しんでいるお前に儂は言葉をかけるべきだった。だが、儂は出来なかった・・・・・・。不甲斐ない父を許してくれ。」
「そんな・・・・・・、私こそお父様やお母様に心配をかけてすみませんでした。」
将軍もサーニャも涙ぐみながら話している。
「お主が勇者ノエル殿か?」
「あっ、はい! 旅立ちの時以来です。」
「よくぞ魔王を倒しこの世に平和をもたらしてくれた。レバニアを代表して礼を言うぞ。更に娘が世話になって・・・・・・、言葉では言い表せないぐらいの感謝の気持ちで一杯だ。」
「いや、俺はやれる事をやったまでですから。」
「あの、ノエル様は・・・・・・、勇者なのですか? カイン様では無くて?」
そういえばサーニャには言ってなかった。
言っても信じてもらえるかどうかわからなかったから言わなかったんだけど。
「そうだ、ノエル殿こそ真の勇者だ。あのバカ王子はその手柄を横取りしたのだ。ノエル殿の仲間を買収しノエル殿を亡き者にしようとしたのだ。」
「でも、カイン様も旅立ちましたよ。見送りましたから。」
へっ!? そうなの?
俺なんてひっそりと旅立たされたんだけど?
「あれは嘘だ。ノエル殿が魔王討伐するまでひっそりと別宅に潜んでいたのだ。儂も後から知ったんだがな。」
ずる賢い奴だな。
サーニャは軽くショックを受けているみたいだ。
「思えば、ノエル殿の父親も王に睨まれ軍を去らなければならなかった・・・・・・。」
「えっ!? 将軍は親父の事を知ってるんですか!?」
「知っているとも、儂と同期で戦友でありライバルだったからな。」
俺は思わず驚きの声をあげた。
親父が騎士団に入っていたのは聞いていたが、まさかガッシュ将軍と同期だったとは・・・・・・。
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