元勇者、両親の素顔を知る
お袋が聖女だった、という事実に暫く意識が飛んでいたがハッと冷静さを取り戻した。
「これは……、聖女関係だったらミラージュが知っているんだろうけどそういう話が無かったからなぁ」
そういえば冒険者だったらギルドに所属してるはずだからギルドに行けば何か知ってるんじゃないだろうか。
俺はギルドへと向かった。
「おぉ、お前の親父さんとお袋さんの事は良く覚えているよ。二人と一緒にパーティーを組んでいた事もあるからな」
やはりギルドマスターが覚えていた。
「お袋のギルドカードを見たら聖女になってたんだが、お袋は聖女だったのか?」
「あぁ、確かそうだったな。回復魔法や解毒魔法が得意だった。色んなパーティーからスカウトの話も合ったけど『クイントさんと一緒じゃないと嫌だ』って絶対に離れなかったんだ」
「そんなに愛し合っていたのか」
「いや、そういう訳じゃない。クイントはモテていたからな、一種の浮気防止だよ。アイツはお前に似て女心に鈍感だったからな」
「いや、俺は鈍感……ではないと思いたい」
「自信持って否定しろよ」
ギルドマスターが呆れた様にツッコんだ。
正直、女性と付き合った事が無いからわからないんだよなぁ……。
「でも、魔王が現れなくても聖女とかいたんだな」
「職業だからな。名前は残ってなくても勇者とかはたまにいたぞ。その時はドラゴン退治とかメインだったよな」
なるほど……。
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