元勇者、前魔王の処遇を知る
誤字報告ありがとうございます。
「それじゃあ勇者との戦いはどうなったんだ?」
「彼らは旅の中で自分達の正義に疑問を持っていたみたいです。それで戦う前に色々話し合いをしたんです。その結果、私を討たれた事にして首を偽装して持ち帰ってもらったんです。何せ向こうの王族は私の事を覚えてなかったみたいなんですよね」
何とも呆れた話だ……。
「そりゃあ墓場まで持っていかないとダメな話だな」
「それで私はこの谷に移り住んで管理人をしている訳です。言っては何ですが気楽で良いですよ。錬金術の研究に没頭できますからね」
そう言ってサザラスは笑う。
「あぁ、そうだった。障気が高い原因はやはり前魔王の魂が彷徨っているからです。それで対策を講じました」
「対策って?」
「前魔王の魂を新たな肉体に宿して谷から出て行ってもらう事にしました」
「いや、それって大丈夫なのか?」
「えぇ、勿論タダで出すつもりはありません。記憶も魔力も全て封印して一人間として生きてもらいます」
「そんな事出来るのか?」
「えぇ、肉体は既に用意出来ていますから。ちょっとこちらにどうぞ」
俺達はサザラスに連れられ奥へと入って行った。
そこにはカプセルに入った少女が眠っていた。
「この少女に前魔王の魂を移しました。後は色々調整をするだけです」
「これが……お父様?」
「なんで女性なの?」
「ホムンクルスは女性の方が作りやすいんですよ」
カプセルで眠っている少女は穏やかそうに眠っている。
なんか不思議な気分だ。
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