元勇者、謎の錬金術士と会う
「この家は一体・・・・・・?」
突然、現れた家に俺達は困惑していた。
そんな俺達とは別にメナルティは家の扉をノックした。
すぐに扉が開かれ中から眼鏡をかけた如何にも頭の良さそうな青年が姿を現した。
「おやおや、メナルティじゃありませんか。しかもこんなに大勢のお客さんを連れてくるなんて珍しい」
「ん、障気の事で相談」
「あぁ、そういう事ですか。どうぞ皆さん、家の中へどうぞ」
青年は笑顔を絶やさず俺達を家の中へ招き入れた。
「意外と中は広いんだなぁ・・・・・・」
家の中は見た目とは裏腹に意外と広かった。
これが、あの地獄みたいな場所にあるとは思わなかった。
「『偽装魔法』をかけてるわね。あの人、かなり高度な魔術を使っているわ」
アイナは家の中を見回しながら感心していた。
「って言うか、こんな所に人が住んでる事自体がおかしいだろ」
「あぁ、普通の人は住めない悪環境だからな」
ガーザスの発言にサラが同意する。
「皆さん、どうぞくつろいで下さい。コーヒーをお持ちしたので」
青年がコーヒーを持って奥から現れた。
俺達は言われるがままにソファーに座りコーヒーを飲んだ。
「私は『サザラス・テービン』と言いまして、元はしがない錬金術士なんですが色々あってこの奈落の谷の管理人をやっています」
俺達も自己紹介をして、早速障気の事について聞いた。
「あぁ、なるほどなるほど。一応こちらで障気のコントロール出来るようにしているんですが障気の量が多くなっているみたいですね、ちょっと制限を強化しましょうか」
「出来るんだったら是非やってほしい。しかし、障気の量が多くなっているのは何故だ? 魔王を倒したら収まるんじゃないのか?」
「逆なんですよ。障気の元は負の力です。魔王や幹部クラスとなると障気の量が半端ないですから・・・・・・」
『元勇者は静かに暮らしたい』元勇者編が大幅に加筆修正をして12月20日に集英社ダッシュエックス文庫から発売されます!Amazon等サイトでも予約受付中です。よろしくお願いいたします!




