元勇者、奈落の谷底へと向かう
メナルティの案内で奈落の谷の底へと続く階段を俺達は降りていた。
左右の岩壁には松明が焚かれていて階段を照らしている。
「って言うか、結構下まで降りてきたんじゃないか?」
「下見たらわかるでしょ? まだまだ先は長いわよ」
ガーザスの発言をアイナが否定する。
うん、まだまだ階段は続いている。
「今中間くらい・・・・・・、後、2、3時間はかかるかも・・・・・・」
「・・・・・・まぁ、モンスターが出ないだけマシか」
「確かに、モンスターが出そうな雰囲気はしているが・・・・・・」
「此処はダンジョンじゃないから・・・・・・出ないよ」
特殊な場所、という訳ではなく本当にただの階段なんだな。
階段を降り始めてどれくらい経っただろうか・・・・・・。
「はい、到着」
漸く外に出た俺達は言葉を失った。
ゴツい岩肌に草一本生えていない。
谷底だから光は無く、全体的にどんよりとした空気が漂っている。
見た事は無いが地獄という物があれば多分こういう風景なんだろう。
「じゃあ、着いてきて・・・・・・」
そう言ってメナルティは歩いていく。
「めちゃくちゃ歩きづらいな・・・・・・」
「ガーザス、気を付けろよ。毒ガスとかもあるからな」
「あぶなっ!?」
辺りに気をつけながら俺達はメナルティの後を着いていく。
「ここ」
着いた場所は一件の家だった。




