元勇者、アリスの家へ行く
馬車に乗り込み1週間かけて魔族領へとやって来た。
「魔王を倒しに来て以来だな」
やはり何とも不気味な空気が漂っている。
「確かに人が嫌がる様な雰囲気だな」
「久しぶりに感じたが……、何とも懐かしい感じだ」
「サラは慣れてるのね」
「この空気なんてまだましな方だ。私が当時住んでいた村はもっと空気が悪い」
俺達はアリスとの待ち合わせ場所である旧魔王城へと向かった。
道中で襲われるかと思っていたがそんな様子は無く特にトラブルも無く旧魔王城に到着した。
俺にとっては思い出深い場所である。
『こんな瓦礫の山に埋まっていたのか、お前。よく死ななかったな」
「勇者の鎧のおかげで圧死せずにすんだよ……」
正直、死は覚悟していたんだけどな。
「おぉ、待っていたぞ!」
「アリス、魔王城は復興しないのか?」
「魔王軍が無い状態で新しい魔王城なんて建てたら勘違いが起こりかねん。まずは私の屋敷に案内しよう」
そう言われて俺達はアリスの後をついていった。
「ここが私の家だ」
アリスに着いていき到着したのは立派な家だった。
家の中に入り居間へと通された。
「今、奈落の谷には部下を向かわせて監視をさせているのだが、夜になると障気が酷くなるらしい。それと同時に谷の底から謎の声が聞こえてくるらしい」
「怨霊の声か……。しかも魔族だからかなり厄介な奴になりそうだな」
だとしたら『浄化』は使えそうだが、俺の力ではたかが知れている。
やっぱり『聖女』の力が必要になってくるか……。
しかし、今は聖女はいないしな……。




