元勇者、魔族領に行く
「障気の元を正せばいいんじゃないでしょうか?」
シュバルツの言う通りだと思う。
「その元がわからないのだ……、魔王城が崩壊しても障気は全く収まる気配が無い」
「う~ん、と言う事はもしかして魔族が立ち入らない場所が元になっている可能性があるかもしれない」
「我々が立ち入らない場所……、一つだけ心当たりがある」
「何処だ?」
「通称『奈落の谷』と言われている場所がある。そこは罪人を落とされる所だ」
「魔族でも罪人っているのか?」
「ほとんど父上の気まぐれで落とされていた、父上が生きていた頃は父上がルールだったからなぁ」
なるほど……、長年の恨みつらみが溜まっていそうだな。
「行ってみるか?」
「おぉっ! 行ってくれるか!?」
「あぁ、久しぶりに魔族領にも行ってみたいからな」
ここ最近はずっとデスクワークばっかりで体を動かしていなかったから久しぶりに領地外に出てみたかった。
「それだったら、ギルドに依頼してみたらどうでしょう? 個人で動くよりも正式な依頼として受けた方が後々問題にはならないでしょう」
確かにその通りだ。
早速アリス名義でギルドに依頼をした。
そして、俺、サラ、アイナ、ガーザスの4人で魔族領に行く事になった。
「ガーザスとパーティーを組むなんて久しぶりだな」
「あぁっ! 俺も久々に腕がなるぜっ!」
ガーザスは笑みが止まらない。
「サラも久しぶりなんじゃないか?」
「魔王軍を追い出されてからは一回も足を踏み入れていないからな……、しかも奈落の谷は私の生まれた村のすぐ近くなんだ」
「そうか、じゃあ里帰りにもなるな」
「里帰りと言ってももう人は住んでいない。魔獣の被害が酷くて離れ離れになってしまったからな」




