元勇者、アリスに懇願される
「それで、今日はそれだけじゃないんだろ?」
「うむっ! 我ももっと人族との交流を深めなければならん、と思って魔族領に人族を招待しよう、と思っておるっ!」
「ふむ、魔族の現状を見れば偏見もなくなるよな・・・・・・」
アイディアとは良いと思っている。
しかし・・・・・・、気になる点がある。
「アリス、今普通の人が入れる状態なのか?」
アリスはピシッと固まった。
「現実問題として『障気』をどうにかしないと普通の人は立ち入り出来ないぞ」
障気は魔族領独特の魔力を含んだ空気の事だ。
人族は本能的に嫌っており立ち寄らないのが現状だ。
「それに魔族達の協力が無いと。魔族側にも人族にまだまだ抵抗する輩がいるだろうし・・・・・・」
「勇者ノエルっ! お願いがある、いやお願いします! 我に協力してほしいっ!」
アリスは綺麗に土下座した。
いや、土下座しなくてもアドバイスとかはしてやるつもりだったんだけどなぁ。
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