元勇者、アイナの弟に会う
「しかし、コレだけの本を魔族にも人族にもわかりやすい様に纏めるのは、かなり大変だし腕が無いと大変だぞ」
「えぇ、そうですね。うちの学術機関の面々に任せればいいんですが、正直偏りそうで怖いんですよね……」
いや、一国の王子がそう言う発言するのはどうか、と思うが。
偏見の無い奴が良いよな……。
そんな事があった数日後、村にある訪問者がやって来た。
その人物はアイナと仲良さそうに話していた。
「アイナ、そいつは?」
「あぁ、私の弟よ」
「えっ!? 弟がいたのかっ!?」
「ノエル様ですか? 僕は『リベル・ネカール』と言います。姉がお世話になっています」
頭を下げて礼儀正しそうな青年だ。
「リベルはだいぶ前に勘当されて家を追い出されて、暫く会えなかったのよ」
「勘当?」
「僕が魔力無しで生まれてしまったので、10歳の時に家を追い出されたんです」
「実の息子なのに? 冷たい親だな」
「それが先祖代々魔法使いの家に生まれた宿命なのよ……、だけどリベルは腐らないで自分の道を切り開いたのよ」
「へぇ~、今は何をやっているんだ?」
「フリーの学者をやっています」
フリーの学者?
「何処かに所属はしてないのか?」
「はい、なるべく特定の価値観を持たない為に、色んな国を回って民間の立場で研究をしています」
「へぇ~……」
「しかも確実に結果も出していて最近話題にもなっているのよね」
「自慢の弟じゃないか」
「そうね、うちの家族の中では一番マトモだと思うわ」




