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元勇者、ミラージュの昔話を聞く
翌日。
「えっ、こんなにあるのか・・・・・・」
「そりゃあ数百年の世界の動向を記録してるんだからそれなりの量はあるわよ」
ミラージュが持って来た歴史書は数百冊だった。
「しかもかなり分厚い・・・・・・」
「一年を一冊に纏めてあるからね、これでもかなり編集されてる方よ。今回持って来たのはシュヴィア国周辺の物よ」
「この辺り周辺の事か、て言う事は先代勇者の話も出ているのか」
「勿論、て言うか私達が聖国にやって来た所から始めてるからね」
「確か魔王を倒した暁に領土を頂いたんですよね?」
シュバルツの問いにミラージュは首を横に振った。
「違うわよ、私達の力を恐れた国王達が自分達の地位を脅かされ無い様に私達をなんにもない無人島に押し込んだ訳。多分、その意図に気付いていたのは私だけじゃないかしら?」
「まぁ先代勇者はど天然だって言うのは何となくわかるがシエンスもわかってたんじゃないか?」
「かもしれないわね、私もアイツの脳内はわからないから」
何て言うか勇者って言うのは損な役割だよな。




